非臨床と臨床の架け橋として、革新的な創薬に挑戦する
トランスレーショナルリサーチ本部長
飯倉 仁 Iikura-Hitoshi
トランスレーショナルリサーチという言葉を学生の皆さんはあまり聞いたことがないかもしれません。薬の研究開発においてトランスレーショナルリサーチとは、「非臨床(動物やヒトin vitro)」と「臨床(患者さん)」をブリッジする研究のことを指します。
中外製薬は、革新的な創薬技術を用いることでこれまでは不可能だった創薬に挑戦し、アンメッドメディカルニーズを解決していきます。一方で、これまでにない技術でこれまでにない医薬品の創製に挑戦しているからこそ、非臨床と臨床の間で、私たちは様々なチャレンジに直面します。
たとえば、動物の疾患モデルでは治療効果が出るが患者さんで治療効果が出るのか、動物ではこの投与量で効果が出るが患者さんではどれくらいの投与量で効果が出るのか、どのように分子をデザインすれば患者さんで十分な治療効果を安全に発揮できるのか、同じ病気でもどういった特徴を持った患者さん(セグメント)にこの薬は治療効果を発揮するのか、どのようなバイオマーカーを測定することでそのセグメントを特定できるのか、十分な安全性を有しているのか、どのように臨床試験をデザインすれば効果的に創薬コンセプトを患者さんで証明することができるのか、薬が効いている患者さんをどうやって特定するのか、この薬は本当に患者さんのQoL(Quality of Life)を改善するのか、などです。サイエンスを基軸として、これらの多くの疑問に答えを出す研究や臨床試験を実施するのがトランスレーショナルリサーチ本部のミッションになります。
私たちトランスレーショナルリサーチ本部は、薬の研究開発において、創薬初期から臨床試験においてわれわれが創製した医薬品候補物質(抗体、中分子、低分子等)のPoC(Proof of Concept:創薬時に考えたコンセプトが患者さんで期待通り働くことを確認すること)取得まで、非臨床と臨床をブリッジするという観点で、すべての自社創製品のプロジェクトに関わります。医薬品の研究開発というサイエンスに携わるなかで、自分たちが創製した医薬品候補分子が患者さんで期待通り働くことを証明するPoC取得の瞬間は、医薬品開発においても大きなハイライトになります。ここまで辿り着くには非常に長い道のりがあり、多くの乗り越えなければならないチャレンジがありますが、目標を共有し、様々なチャレンジを一緒に乗り越える信頼できる仲間と進める医薬品の研究開発は、とてもエキサイティングで楽しいものです。
中外製薬が大切にする価値観であるInnovation all for the patients/Innovation beyond imaginationに共感し、一緒に医薬品の研究開発に取り組んでくれる仲間を心よりお待ちしてます。