中外製薬

海外勤務の研究員から

Roche
バーゼル(スイス)

深い専門性と経験を持つ現地研究員と協働。
研究データや提案による貢献が自信につながる

梅本 雪菜 Umemoto-Yukina

生命科学院 生命科学専攻 修了/2015年入社

ロシュ社の研究員たちと(本人前列中央)

バイオ医薬品の分析評価法を共同で構築

スイスのバーゼルに本拠を置くロシュ社の研究所に赴任しています。ここでは、ロシュ社が手掛けるバイオ医薬品開発において、その評価法となるバイオアッセイの構築を同社の研究員と共同して行っており、私はプロジェクトリーダーを務めています。

私のミッションは主に二つで、一つは抗体医薬品について、これまでの自身の経験を活かしロシュ社の戦略策定に貢献すること。そしてもう一つは、遺伝子治療などの新規モダリティに関して、ここでの経験から技術や課題を学びながら、彼らと共同で開発にあたることです。

赴任先の部門は、開発医薬品の分析評価を通して、患者さんにお届けする医薬品の品質を作り込んでいくのが役割。中でも私の所属するバイオアッセイ・グループでは、分子の働きそのものを評価する分析法を各分子ごとに設計しています。

バイオ医薬品は構造や機能がより複雑化しており、細胞アッセイやELISA法、また分子間相互作用アッセイなど、さまざまな角度から目的に合った複数の分析法を駆使することで、有効性と安全性を明らかにしています。多くの研究員がそれぞれの強みを持つ分野を担当しながら、活発に議論を行いながら共同で分析評価法の開発が進められています。

バイオアッセイ試験法は、分子ごとに異なる機能を生体内現象を模した系で再現することが求められるため、開発検体ごとに多くの時間、労力、費用を要する傾向にあります。より迅速で簡便な方法で評価を行うため、ロシュ社のプロジェクトにおいて、新規モデルの分子間相互作用装置を活用し、品質試験目的のみならず分子の管理戦略提案に必要な付加的機能の評価法の立ち上げを行っています。

新規モデルの分析機器活用においては、機器自体が持つ特性や課題感の把握と解決、また今後の機器活用方針について、ロシュの研究員だけでなくジェネンテック社とも議論して推進しています。

妥当性や活用方法を提案するプロセスは一筋縄ではいかない点も多くありますが、製薬企業として目指す方向は同じであり、自身でデータを取得しながら知見を蓄積し、理解を得ながら協働して進めることにやりがいを感じています。

自分自身や中外製薬を客観的に認識できるからこそ

海外赴任を経験して良かったと感じる点は、深い専門性と経験を持つ現地研究員と協働して仕事をする中で、自身の技術や専門性を強められること。その中で構築された関係性は今後の強みになると感じています。

また、現場でサイエンスを基に議論する点は自社でも海外赴任先でも同じため、自分の提案やデータが現地研究員から支持され医薬品開発に貢献できることは、研究者としての自信に繋がっていると感じます。

異なる企業文化や海外ゆえの多様な人材・働き方を肌で体感することは、枠にとらわれない考え方をする良いきっかけになっており、自身および中外製薬の強みと弱みをより認識しやすい環境にあると感じています。

ロシュグループ各社の研究員との継続的なコミュニケーションを通じ、複雑化する分子の効率的な管理戦略立案に活かすのはもちろん、多様な人材といかに協働して開発を進めるかという点においても、今回の海外経験を糧に活躍できたらと考えています。

休日の過ごし方

バーゼルは中心にライン川が流れ、旧市街が素敵な小さな街です。週末は子供と近くの公園や川で遊んだり、月始めの日曜は入場無料の美術館に足を運んだり、スイスより物価の安いドイツやフランスに買い物に出かけたりと、リラックスした時間を過ごしています。また連休などには、スイスならではの美しい山々へハイキングに出かけて大自然を味わったり、鉄道や飛行機で簡単に訪問することができるヨーロッパの街を訪れては異文化や現地の食事、新鮮な景色を楽しんでいます。

研究職を志す皆様へ

サイエンスの議論を機軸に世界に貢献できるのが製薬企業の醍醐味です。中でも製薬研究は多くの人々との連携を通して、実際に患者さんに投与される医薬品の有効性・安全性を含めた品質を担保する仕事です。臨床試験や製造との兼ね合いからプレッシャーを感じることもありますが、だからこそ新しい技術や発想を取り入れて形にし、自信をもって医薬品を患者さんに届けることができたときには、大きなやりがいと喜びを感じます。仲間とともに協力しながら、医薬品開発を通じて患者さんの人生に希望を届けたいと思われたら、ぜひ私たちと一緒に挑戦しましょう。

  • 所属部署等は取材時のものです。