科学的根拠に基づく
臨床と非臨床の効果的な連動で患者さんと医療に貢献する
メディカルアフェアーズ本部長
西 和彦 Nishi-Kazuhiko
メディカルアフェアーズ本部の役割は、医療従事者や患者さんが抱える実臨床下でのさまざまな課題を正しく理解し、市販後の臨床研究や非臨床研究活動を通じ、課題解決の根拠となる良質なエビデンスを創出、発信、浸透を図ること、その結果として医療従事者を通じ、一人ひとりの患者さんに、より最適な治療を届けることにあります。
現在本部内には、臨床研究実施・推進、PHC推進、DB研究、HTA解析、メディカルインフォメーション機能など、多くのユニークな機能を有していますが、中でも中外製薬ならではの大きな特徴の一つがプロダクトリサーチ部です。臨床でみられる事象や現象について、非臨床研究により分子学的な解明を行い、その科学的根拠を提示することを役割としています。単に非臨床モデルにおいて機序を明らかにすることではなく、臨床で起きていることを可能な限り正確に把握し、それを科学的に説明することが求められます。そのため、一般的に非臨床研究で用いる細胞株や動物モデルに加え、臨床検体やRWD、デジタルデバイスなどの材料やツールも積極的に活用し、より臨床外挿性の高い有用なデータを創出できるよう努めています。
このように本部内に非臨床研究機能を有し、実臨床で起きている事象を非臨床でも確認・検証し、また、非臨床研究からの分子学的な機序を解明し、論理的根拠に基づく臨床研究へと展開しています。この臨床と非臨床(基礎研究)の効果的な連動を可能とするのが、中外製薬メディカルアフェアーズ本部の大きな特徴の一つです。
また、プロダクトリサーチ部は、大学などの研究機関との産学連携による非臨床研究を積極的に進めてきました。日本のトップクラスの基礎および臨床研究者との情報・意見交換を通じ、最先端の医学研究に触れることができるのも大きな醍醐味です。このように、サイエンスを基に、医師・研究者との緊密なつながりを構築し、将来の患者さんの治療に貢献する産学連携による研究は、製薬会社が担わなければならない大きな責務の一つだと考えています。さらにロシュ社との連携を通じ、グローバルレベルの研究者との交流や非臨床エビデンスの発信を図れることも、中外製薬ならではの大きな強みです。
プロダクトリサーチ部に所属する研究者は、診療現場により近い距離感で活動する必要があるため、研究室での実験・研究活動のみならず、病院や研究機関を直接訪問することにより、医師あるいは医療関係者の方々とのディスカッションやコンサルティングを行う機会が多くあります。したがって、当部の研究者には、現在の医療のニーズをとらえるアンテナ力、コミュニケーション能力、速やかにかつ確実に研究を実行する研究推進力、そしてなにより「臨床に役立ちたい」という患者さん志向が必要となります。
最後になりますが、プロダクトリサーチ部の研究員と話をしていると、いつもワクワクを与えてくれます。世界中の患者さんに貢献したいという強い志を持ち、新たな発見や挑戦を常に楽しんでいる様子がうかがえます。楽しいところには人が集まり、仲間と共に共通の目標に向かって取り組むことで、あらゆる困難は乗り越えることができます。また、常に「なぜ?」を意識することで行動は変わり、前向きに主体的に取り組むことで結果も変わってきます。
研究を通じて仲間とともに医療に貢献する、さらには「医療を変える」という共通の目標に一緒に立ち向かう強い志を持った仲間をお待ちしています。